演出家コメント

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脚本・作詞・演出

横山清崇
YOKOYAMA KIYOTAKA

 みなさん、こんにちは。ミュージカル「ミルコとカギロイの森」にて脚本・作詞・演出を担当している横山清崇です。2022年の1月に再々演が決まり、またこの作品を上演できることを嬉しく思っています。すでにオーディションの詳細が出ておりますが、この機会に、どうしてこの作品を創りたいと思ったのか、そして、どのような方にご参加いただきたいと思っているかを、お伝えさせていただけたらと思います。

 

 「ミュージカル」は、お話の中に歌や踊りがあるので、華やかさや楽しさに溢れている作品が多くあります。また、一方でとてもドラマチックで、深い内容のお話になっている作品も多くあります。つまり「ミュージカル」作品にはたくさんの可能性があります。僕は、ジュニアキャストの皆さんたちがたくさん出演してくれる作品を創るとき、ある一つの願いを込めて作っています。それは「子どもたちや、若者の声や言葉の力を通して、大人たちが忘れてしまっている大事な何かを思い出させるような作品を創りたい」という想いです。

大人の俳優さんたちが創る素晴らしい作品もあれば、ジュニアキャストの皆さんたちにしか創れない素晴らしい作品もあるはずです。「ミルコとカギロイの森」について「これは、いくら大人たちが頑張っても同じようには出来ない。」そんな感想をこれまでの上演で、いただきました。そのことを大変嬉しく思っています。

 

 物語の着想を得るにあたって、大きな影響を受けている大好きな作家さんが居ます。星新一さんという作家さんです。星さんはすでにお亡くなりになっていますが、その作品は今もなお多くの人に愛され読まれ続けています。僕が初めて星さんの作品を読んだのは小学生の時です。国語の教科書に載っていた「おみやげ」という短いお話でしたが、本当に心に残りました。星さんが描く世界は、未来の世の中です。科学技術が今よりもずっと進んだ社会のなかで、人々はどんな風に生きるのかが書かれています。今でもたまに読み返すのですが、時にゾッとし、ハッとさせられます。そして、自分自身が「何か大切なこと」を忘れてきたのではないかと思うのです。ミュージカル作品を通して、そうした 「気づき」を少しでもいいから与えられたら、、、そんなことを願って、ミュージカルを創っています。「ミルコとカギロイの森」は、あくまでも架空のお話です。ですが、もしかしたら、物語に出てくるようなことが実際の世の中で起きるかもしれません。地球温暖化、異常気象、人口爆発、、、今こうしている間にも、地球上ではさまざまな問題が起こっているのですから。だからこそ、これから先の日本を、、、いえ、世界を担っていくジュニアキャストの皆さんたちの純粋な言葉で、是非、語り掛けてもらいたいのです。その力は、大人たちを、社会を、世界を動かす力があると信じています。

 

 皆さんは「ミュージカル」の世界に憧れ、日々たくさんのレッスンを積まれていることでしょう。これまでも、高い歌唱力やダンス力、表現力をもったジュニアキャストの方たちにお会いしてきました。技術の高さに驚くとともに、その努力の過程を素晴らしいことだと感じています。僕は、それだけ高い技術を持ち、努力が出来る皆さんに「自分で考える」という行為が、それにともなったらどんなに素晴らしいだろう、と大きな期待をかけています。「言われたことを言われた通りにやる」のではなく「なぜ、そうするのか?」「なぜ、こうなるのか?」を徹底的に考える力が身につけば、皆さんの可能性はさらに大きなものとなるはずです。「ミルコとカギロイの森」という作品を通じて「この作品は何を訴えかけているのか?」を考え、「それを伝えるために自分は何をすれば良いのか?」を考えていただきたいと思います。一人ひとりが「考える力」を発揮してくれたら、きっとこの作品は、とんでもない大きな力を持った作品になることでしょう。大きな可能性を持った皆さんに出逢えることを楽しみにしています。