
「ミルコとカギロイの森」
ストーリー
はるかはるか昔、天上の神様たちは、いのちを宿す光を集め、姫君の姿に変えてこの地上に遣わされました。姫君が祈ると「カギロイの光」が放たれ、どこまでも果てしなく緑が広がる大きな森がつくられました。その森は「カギロイの森」と呼ばれ、植物たち、ケモノたちやニンゲンたちなど、たくさんの生き物たちを誕生させました。姫君の祈りによって、すべての生き物たちに生きる力と繁栄とがもたらされたのでした。
それから長い月日が流れ、地上の生き物たちの関係にも変化が生じました。ニンゲンたちは自らがつくりだした「カガク」の力に酔いしれるようになり、姫君のことも森のことも忘れてしまいました。そして、「もはや自分たちは神と同じだ」と思うようになったのです。ニンゲンたちが集うジフアクの都では「自然との訣別」が高らかに宣言され、不要になった植物や動物が次々と排除されていきました。自然を愛する心を失っていなかったミルコは、捨てられそうになった植物の種を拾って、大事に育て始めます。しかし、その為に政府の方針に反する危険な人物と思われ、都から追われてしまいます。
カギロイの森の近くにあるアサマダキの村では、「カガク」は浸透せず、ニンゲンたちは森に敬意を払いながら、自然とともに生きていました。都を追われたミルコでしたが、この村に来て、エル、リンド、ヒューゴ、という村の三勇士と出会い、仲間として認めてもらいます。また、雲の動きを読む名人のレンと、その妹のリズとも友だちになります。アサマダキの村に来て、ミルコは自分の居場所をはじめて見つけたのでした。
一方、カギロイの森の中では異変が起きていました。ケモノたちのリーダー、ウルフ将軍による陰謀が密かに進んでいたのです。ウルフは手下のフォックスやレパード、パンサーを用い、ニンゲンたちをこの地上から排除しようと計画していました。そんなケモノたちに対し、ボダイジュやアマリリス、フリージアといった植物たちは一抹の不安を抱きながらも、森の秩序を保つために静観を続けています。
地上に真の平和を実現させる為、祈りの準備を進めている姫君の気持ちをよそに、ついにウルフたちは計画を実行に移します。天候を自由に操れる「姫の羽衣」を姫君には無断で用い、ニンゲンたちの住む村に大きな災害を招くツジカゼ雲をおこします。また、姫君を寝殿の祈りの間に閉じ込め、祈りを出来なくしてしまいます。そのため森の中も、村の中でも大騒動が起こります。この異変を解決し、かけがえのない場所となったアサマダキの村を守るため、ミルコはエル、リンド、ヒューゴと一緒にカギロイの森の奥深くへと入っていくのでした、、、